寛骨臼側骨切り術│股関節班の症例など│浜松医科大学 整形外科学講座

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寛骨臼側骨切り術

寛骨臼側骨切り術│股関節班の症例│浜松医科大学整形外科学講座

比較的若い年齢の方で、軟骨の摩耗がまだ進行していなく、寛骨臼が浅くて痛みがでている方は荷重部を支える骨盤の屋根を作る骨切り術(寛骨臼回転骨切り術)が適応となります(図1,2)。

この手術の特徴は、人工物を使用せず、もともとの自分の骨で治療ができることです。
ただし、リハビリに多くの時間がかかるので、自分の治療に専念できる周囲の環境が必要です。
キアリ骨盤骨切り術は大腿骨外反骨切り術と併せて行うことが多いですが、寛骨臼が浅くて痛みがでている方で、大腿骨頭の変形があり、寛骨臼回転骨切り術が適応にならない方が適応になります(図3,4)。

この手術はある程度軟骨の摩耗が進行していても適応になることがあります。また寛骨臼回転骨切り術は術前計画も難しく、高度な手術手技を要することから、できるだけ簡便に確実に手術ができるように、コンピューターソフトで術前計画を行い、3Dプリンターを用いて実態模型を作成し、さらに患者さん個別の術中支援器具を作成して手術を行っています(図5~7)。

  • 図1 寛骨臼形成不全症の単純X線写真 寛骨臼による大腿骨頭の被覆が浅いです。

    図1 寛骨臼形成不全症の単純X線写真 寛骨臼による大腿骨頭の被覆が浅いです。

  • 図2 寛骨臼回転骨切り術後 回転骨片によって、十分な骨頭の被覆がえられています。

    図2 寛骨臼回転骨切り術後 回転骨片によって、十分な骨頭の被覆がえられています。

  • 図3 骨頭の変形のある寛骨臼形成不全症 関節の隙間も狭くなっています。

    図3 骨頭の変形のある寛骨臼形成不全症 関節の隙間も狭くなっています。

  • 図4 キアリ骨盤骨切り術と大腿骨外反骨切り術の併用手術 大腿骨頭が移動骨片により十分に被覆され、関節の隙間も広がっています。

    図4 キアリ骨盤骨切り術と大腿骨外反骨切り術の併用手術 大腿骨頭が移動骨片により十分に被覆され、関節の隙間も広がっています。

  • 図5 コンピューターソフトによる寛骨臼回転骨切り術のシミュレーション 骨切り部に適合した患者さん個別の術中支援器具も作成

    図5 コンピューターソフトによる寛骨臼回転骨切り術のシミュレーション 骨切り部に適合した患者さん個別の術中支援器具も作成

  • 図6 3D実態モデルによる回転シミュレーション。

    図6 3D実態モデルによる回転シミュレーション。

  • 図7 実際の手術で使用している患者さん個別の術中支援器具。この器具に沿って骨切りを行います。

    図7 実際の手術で使用している患者さん個別の術中支援器具。この器具に沿って骨切りを行います。