2018年7月から12月までBarcelona, Vall’d Hebron大学に
2019年1月から3月までBordeaux, Bordeaux大学に留学させていただきました。
海外留学志向は強くはなかったのですが、様々な海外学会に参加させてもらい徐々に意識も変わってきました。大きなきっかけは2014年アラスカで行われたSRSで戸川先生と戸川先生の留学時代のBossのLieberman先生との会食に参加させてもらったことです。楽しそうに会話をする2人を見て“留学するって楽しそうだな”と思ったことを覚えています。
2017年(浜松医療センター勤務時)に松山教授から留学のお話をいただきました。しかも希望のところがあればそこで良いとのありがたいお話でした。前述した2014年のSRSとEurospineでBarcelonaのPellisé先生が成人脊柱変形とQOLについての発表をされていて注目しておりました(みなさんが思っているようにサッカーが観たいためだけに選んだわけではありません)。松山教授にBarcelonaに行きたい旨を伝えたところ快くOKをいただきました。
調べてみるとスペインでのFellowshipはMinistry of Healthへの申請許可が必要で、最長期間も半年(前期1月~、後期7月~)と決められていました。その書類申請がかなり大変でした(詳細はブログ:https://spain-spine.hatenablog.com/ を参照ください)。
基本的にはすべてスペイン語で作成の必要があり、外務省などの認可のサインなども必要でした(おかげでその辺は詳しくなりましたが)。一時期はもう無理だと、弱気なメールを松山教授・戸川先生・大和先生に送ったのは今となっては良い思い出です。
Barcelona, Vall’d Hebron大学病院はスペインで2番目のベッド数を誇る病院です。3つの建物に分かれており(一般/総合、産科/小児、外傷)外傷棟は整形外科疾患ばかりです。木曜日の外来日以外は毎日手術です(スクラブして参加できます)。そして術後管理は術者がするわけではないようで、手術が終わると帰宅できます。ただ現地のDrは夕方からプライベート病院にいって生活費を稼ぐようです(大学病院の給料はあまり高くないようです、この辺は日本と似ています)。
European Spine Study Group (ESSG)の中心的な病院でもあったので、ESSGと浜松のデータを用いてResearchもさせていただいています。ESSGの会議にも参加させていただくこともできました。今後発表・論文化していく予定です。
みなさんの予想通りにスペイン人は時間におおらか、話好きです。朝もカフェテリアでコーヒーを飲みながら小一時間話をしてから病棟に上がります。そこでもみんなでいろいろと話をして(内容は理解できませんが・・)手術に向かいます。やりとりはスマホを多用しており、患者の画像などもスマホで撮って送っていますし(日本ではアウトですね)、麻酔導入すると個人の携帯に連絡が来て手術室に向かいます。手術もそんなに急ぐ感じもなく音楽をかけ歌いながら手術をしています(麻酔科の先生のなかには大声で歌っている人もいました)。
Barcelonaは世界有数の観光地でありトラム・メトロ・バスはかなり発達しており、車はなかったですが市内の移動に困ることはありませんでした。妻と息子(出国当時2歳)ともいろいろなところに不自由なく出かけることができました。
Barcelonaの第1言語はスペイン語ではなくカタルーニャ語で街中の表示も基本はカタルーニャ語です。カタルーニャ語はだいたいスペイン語とフランス語の中間ぐらいの言語な感じだと思います。家賃は浜松に比べるとかなり高く、物価は高くはないですが、外食は結構値段が掛かります。ちなみにスペインでは昼食は14時ぐらい、夕食は21時ぐらいが普通なので夜のレストランは20時半開始が基本です(そのためほとんど行ったことありません・・)。
独立志向の強い地方で、独立運動もよく報道されていましたが、デモも特に危ない感じはありませんでした。スリなどにも滞在中会うことはありませんでしたが、周りの人ではスリにあった人の話はよく聞きましたのでご注意を。
ご存知の通り、バルセロナは世界有数の観光地です。留学中は週末の仕事もないためいろいろなところに家族で出かけました。車もいらずほとんど市内バス(大体1回1€程度)で行けるので便利です。滞在中に行った有名な観光地は、サグラダファミリア・ブケリア市場・エスパーニャ広場・カンプノウスタジアム(1試合のみ観戦)・モンジュイック城・バルセロネータ(海水浴場)・サンタエウラリア大聖堂・サンパウ病院などでしょうか。ガウディの建築物も近くにあったため前は良く通り過ぎて観ていました。気軽に有名な観光地に行けるのもBarcelona留学のメリットかもしれません。
12月にはBarcelonaでのFellowshipを終え、ビザの関係で一度Londonに行ってからBordeauxに行くことになりました。
Bordeauxは長谷川先生、大和先生、吉田先生も留学されており、そちらの先生方の方がいろいろと詳しいと思います。Barcelonaに比べると手術件数が多く、2部屋で縦に4件ほど手術をしていることが多いです。大阪市立大学の林先生が4月から留学しており、いろいろとお世話をしてもらい非常に心強かったです。
Bordeauxはフランス内でも人気の美しい街です。浜松やBarcelonaに比べると雨の日が多く、青空が見えることが少ないです(冬は雨期のようです)。もちろんワインで有名な街で普通のスーパーにもたくさんの種類のワインが売っています。ワイン好きの先生にはたまらない環境かと思います。街自体はコンパクトなためトラムに乗れば生活には困りません。ただちょうど我が家(Airbnbで借りました)が街中で“黄色いベスト運動”のデモの最も激しい場所で、その時間帯は危なくて外出できません。執筆時点の印象では帰国まで収まる気配がありませんがどうなるのでしょうか?
・留学手続きはブログなどを参考にするとよいです。だれかブログにしているDrがいると思います。
・スペイン語・フランス語ともに結局しゃべれませんが、なんとか生活はできました。困ったときは英語に接点を見出すことになるので、英語は重要だと思います。
・基本的にファーストネームで呼び合うので、なんと呼ばれるとよいか考えていくといいと思います。“Yasuda”は呼びにくかったらしく、結局“Tatsu”になりました。
・日本のどこから来たの?とほぼ100%聞かれ、浜松と答えてもほぼ100%知りません・・やはりスズキ・ヤマハなどが分かりやすいようです。
・40歳になると留学用の助成はあまりありません。若いうちだと留学助成のサイトがいろいろあるので探すとよいと思います。お金は大事です。
・家族で行くと手続きの苦労や心配もありますが、楽しい経験がいろいろできます。仕事で日本語を話すことがないので、家に帰って日本語でたくさん話すこともできます。
・仕事のノルマもなく日常が過ぎていくので自分がいた証のためにも何かしらのResearchをして形に残すのが良いと思います。