整形外科の手術では骨移植が必要となることが多く、国内の骨移植は2010年から2014年に140526例行われています。骨移植には大きく分けて3つの方法があります。
自家骨が53%、人工骨43%、同種骨は4%と報告されています。中でも同種骨は人工骨と比べて、骨誘導能を有する点で優れています。国内には自施設で採取し保存した同種骨を使用する施設内骨バンクと施設内及び施設外で骨を採取し、採取した施設内で処理・保存し、他施設に骨を供給する地域骨バンクがあります。
浜松医科大学医学部附属病院では日本組織移植学会により制定された『ヒト組織を利用する医療行為の倫理的問題に関するガイドライン』『ヒト組織を利用する医療行為の安全性確保・保存・使用に関するガイドライン』『ヒト組織バンク解説における指針』を遵守し、骨の採取・処理・保存・供給の方法について、日本整形外科学会の「整形外科移植に関するガイドライン」および「冷凍ボーンバンクマニュアル」に準じて、「浜松医科大学医学部附属病院院内同種骨移植および骨バンク実施要項」、「浜松医科大学医学部附属病院院内骨バンクマニュアル」を作成しました。院内臨床研究倫理審査委員会での承認のもとに院内骨バンクおよび同種骨移植をおこなっております。
当院の骨バンクは、生体ドナーから大腿骨頸部骨折手術や人工股関・膝関節手術時に余剰骨を採取し、細胞成分の除去と加温処理を行い冷凍保存しています。手術時に多くの骨組織が必要となる手術で、自家骨や人工骨移植での対応が困難な患者様(レシピエント)を同種骨移植の適応としています。現在は人工股関節再置換術などの骨欠損の大きな症例に院内骨バンクに保存してある骨組織を用いた同種骨移植を用いて手術を行なっています。