関節リウマチ(RA)は、本邦でおよそ70-80万人の罹病者数が推計されている膠原病の中でも有病率の高い疾患です。本邦でMTXがRAに対して使用可能となった1999年以降、特に近年では、生物学的製剤(Bio)や分子標的治療薬などの薬物療法の進歩により疾患コントロールが改善するとともに関節破壊の抑制が格段に改善しました。しかしながら副作用や合併症のため十分な薬物療法ができない症例や既に関節破壊を来している症例では、現在でも手術適応となることが少なくありません。
私たちは積極的な薬物療法を行いつつ、外科的治療も個々の患者様に最適の手術の介入を行うことでQOLの改善に努めています。薬物療法の進歩とともに近年では膝や股関節のような大関節の手術は減少傾向にありますが、手指や足趾のような末梢小関節の手術は増加傾向にあります。これは、薬物療法により疾患コントロールが得られると患者様は、機能改善のみならず整容的な改善も外科的治療に期待されることを反映していると考えられます。手指や足趾の変形矯正術は、患者様からの満足度も高く、患者様のQOLを高めるやりがいのある外科的治療です。
鈴木 基裕
当科では、手指や足趾の変形矯正手術においてRAの疾患コントロールが良好で関節軟骨が保たれていれば関節温存術を行い、同時に靭帯バランスの調整をする軟部組織手術を併用しています。関節破壊が高度であればシリコン製人工関節置換術や関節固定術を選択しています。
肘関節破壊に対しては、表面置換型の人工関節を基本とし、関節破壊が高度で側副靭帯機能が失われている場合は、拘束型の人工関節置換術を行っています。足関節破壊例では、靭帯バランスが保たれて骨質が良好であれば人工足関節置換術を行い、関節破壊が高度で靭帯バランスが破綻している症例では、髄内釘とスクリューを組み合わせた足関節固定術を行っています。